アニメのクオリティを語る上でよく耳にする「作画崩壊」。
近年はネットで情報が即座に出回るせいか、作品の評価に大きな影響を与えているようです。
キャラクターの顔が歪んでいたり、動きがぎこちなかったりするシーンを見ると、「あれ?何か違う…」と感じたことはありませんか?
この記事では、作画崩壊がどのようにして起きるのか、その種類と原因について解説します。
作画崩壊とは!?
「作画崩壊(さくがほうかい)」とは、アニメや漫画などの作品で、キャラクターの姿形や動き、背景や物体が明らかに歪んで見える現象を指します。
バランスの取れていない顔や体のパーツ、動きの不自然さが目立つことがあり、視聴者の目に留まってしまう場合が多いです。
この現象は、一見するとミスや手抜きのように見えることから、ファンの間でも話題になります。
作画崩壊の種類
作画崩壊にはさまざまな種類があり、それぞれが作品の見え方に大きく影響します。
ここでは、代表的な作画崩壊の種類について解説します。
キャラクターデザイン崩壊
キャラクターデザイン崩壊とは、キャラクターの顔や体のバランスが本来のデザインから大きく崩れてしまう現象を指します。
たとえば、通常の表情では目と口の位置が整っているキャラクターが、ある場面では目が異常に大きかったり、口が変な位置に描かれてしまったりするケースが該当します。
視聴者にとっては「キャラが別人のようだ」と感じることが多く、ストーリーから気が散ってしまう原因にもなります。
動きのぎこちなさ
動きのぎこちなさは、キャラクターの動作が滑らかでない場合に見られます。
本来、アニメーションは連続した絵を使ってキャラクターを動かしますが、作画崩壊が発生すると、キャラクターがまるでパラパラ漫画のようにぎこちなく動くことがあります。
これは、アニメーターが十分な枚数を描けなかったり、急いで制作を進めた結果、必要なコマが省略されてしまったりすることが原因です。
特にアクションシーンでこの問題が顕著になると、動きが硬く見えてしまい、作品の臨場感を損なうことがあります。
背景との不調和
背景との不調和は、キャラクターと背景の描かれ方や質感が一致しない場合に発生します。
アニメでは、背景とキャラクターの調和が重要ですが、背景が緻密に描かれているのに対してキャラクターがシンプルで輪郭線が粗いと、視覚的に浮いて見えることがあります。
このような不調和は、作品全体の一体感を崩し、キャラクターがまるで背景に溶け込めず、違和感を覚える原因になります。
シーンごとに描き方が変わる作品では、視聴者に「作画が安定していない」と感じられることがあります。
パースの狂い
パース(遠近感)の狂いは、アニメーションの描写において特に目立ちやすい問題の一つです。
キャラクターやオブジェクトの立体感や遠近感が不自然に表現されることで、全体のシーンに違和感が生じます。
例えば、顔のパーツが実際の頭部の大きさと合っていなかったり、キャラクターの腕や足が不自然に短かったり長かったりする場合がこれに該当します。
また、建物や背景のパースとキャラクターの大きさが合っていない場合、視聴者にはキャラクターが「浮いている」ように感じられることもあります。
この現象が起こると、視聴者の没入感が損なわれ、作品の世界観が崩れて見えてしまうことがあります。
特に、ダイナミックなアクションシーンではパースの正確さが重要であり、少しの狂いが大きな違和感を生むことがあります。
作画崩壊がおきるのは何故!?原因は!?
作画崩壊が起こる理由にはいくつかの要因があります。
アニメ制作は多くの工程を経て完成するものであり、特に時間と予算の制約が大きく影響します。
スケジュールの遅延とタイトな締め切り
アニメ制作現場では、厳しいスケジュールの中で作品が作られることが多いです。
特にテレビ放送や公開日が決まっている場合、制作スケジュールが遅延すると、作画に十分な時間をかけられずにクオリティが低下することがあります。
その結果、キャラクターのデザインが崩れたり、動きがぎこちなくなるなど、作画崩壊が発生します。
予算不足によるリソースの制限
アニメ制作には多くの人材と資金が必要です。
しかし、予算が限られている作品では、優秀なアニメーターを揃えることが難しくなります。
また、作画監督が何度も修正を加える時間も限られているため、最終的に完成したシーンに崩れが生じることがあります。
これは特に長編アニメや、シリーズものの作品で見られることが多いです。
アニメ1話あたり約7000枚の絵が必要!!作画崩壊も仕方ない!?
実はアニメを1話制作するにあたり、7000枚前後の絵が必要なのだとか!!
アニメは少しずつ動きが変わる絵をひたすらつなぎ合わせて作っていますが、まさかそんなに必要だとは思いませんでしたね。
日々アニメは大量生産されていますし、各シーズンで全タイトルと見ることなんて到底不可能といっていいほどです。
そんな中でのアニメ制作ですから、現場は疲弊しており、作画崩壊しても仕方がない部分もあるのでしょうね。
予算が潤沢にある大手制作会社は、優秀なアニメーターや演出家を複数人集め、長期にわたって採用できるため作画崩壊の頻度は少ないのでしょう。
一方で、規模の小さい制作会社が低予算で作る際は、当然ながらアニメーターに支払われるギャラも安くなります。
転職サイトや口コミサイトによると、アニメーターのギャラは年収300万円を切る人が多く、20代前半の若い世代だと155万円程度という話もあります。
ギャラが安い場合、技術力の高いアニメーターが引き受ける可能性は低くなって当然ですよね。